<COLOR>
<BLUE>
空がわたしに宿る
遊び疲れて水面に横たわる
深い眠りに引き摺られ
気がつくと海の中
海底の昼寝...
逢魔が時
ブルーが世界を抱きしめる
佇んでも走っても隠れても
ブルーにわたしは浸されて
いつしか青い人になる
天然の青い人
進化を遂げて
わたしは生に舵をとり
今が未来にフィットする
</BLUE>
<RED>
赤い靴は欠かせない
真っ赤なドレスが好きだから
内気なわたしを赤が変える
赤に袖を通したら
背筋をのばして前だけを見て、すたすた歩く
条件反射
赤が言う
私を着るならそうしてよ
恥をかかせないで
わかりました
退屈はさせません
今宵あなたを満足さすよう
わたしはマントにもカクテルにも
流れる血にもなりましょう
</RED>
<BROWN>
落ち葉の径を行く人の見知らぬ背中を
追うともなしに犬と行く
何種類もの茶色を足許に踏みしめて
なんとはなしに幸福に
そう
なんとはなしに
そういう色
なんとはなしにあったかく
なんだか自然と落ち着いて
なぜともなしに心地よい
共に居るほど身に馴染み
自分だけのブラウンになる
私達は大地の子
なんとはなしはその証
</BROWN>
<YELLOW>
HELLO YELLOW
MELLOW YELLOW
こんちわ希望
受胎告知のマリアの衣
ベイビーのクリーム
春は赤みのやまぶき
堅い蕾は青みの黄色
はじまりの予感
変化の序曲
マスタードサンドも
ホットドッグも
おでんも串カツも
からしがなければ話にならない
ゴッホのひまわりが泣きたくなるのもからしのせい
欲しいのは刺激
全体を引き締める強烈なアクセント
</YELLOW>
<BLACK>
黒ずくめのスレンダーな青年に
憧れたことがあります
若いという多感も含めて
おそらくは色とりどりの持て余す情緒を
秘めてるであろう彼の黒に魅かれました
洒落て着ているのではなく
たとえば汚れが目立たない
洗濯に翻弄されない
そういう理由で黒を選んだ
懐かしい若者らしさが気に入ったのです
歳よりも彼は初心に見えました
作為のない黒のせいで
無造作な着方のせいで
もし彼が想われることを意識して
黒を纏っていたならば
私は魅かれなかったと思います
虚飾はすぐに見抜かれる
だって黒は着る人の
心根を暴露する色だから
</BLACK>
<GREEN>
過ぎ去った青い春
来たる未知の可能性
雨が洗った若葉から
それらは同時に匂い立つ
しかも、まぎれない今に
生きることに疲れて
たちどまっても
浴びるような緑に
生命をもらってまた歩く
スクールカラーのハイソックス
タータンチェックのプリーツ
まだ浅い綺麗には
深い緑がよく似合う
若さは木洩れ日
キラキラと森林に集う
</GREEN>
<SKIN>
着てないみたいな目眩まし
鼓動の速さを覚える前に
目は既に、いけない人の確認を始めてる
真偽はいかに
そんなわけないだろう
妙な安心が自分の頭をコツンとたたく
色っぽい一瞬が人は好きなのだ
驚きに目をみはり目を伏せて
見てはいけないその人の
羽根の色を連想する
肌色のマニュキュアが
もとの爪色を巧みに隠して
人形の指にするように
ヌードの幻惑は異世界の扉を開く
</SKIN>
<WHITE>
万能の天才は幸福で哀しい
頼まれれば分け隔てなく手を貸して
望まなければなにものにも染まらない
主脇という意識なく
観客気分で舞台の袖に立っている
天性の無防備
けがそうとする手ぐすねも
どこかで焚かれる嫉妬の炎も
このお人好しは気づかない
ひとたび無能の手にかかれば
あえなくだらしなく堕ちていく
だから白には
支えてくれる腹心が必要なのだ
存在を引きだしてくれる好意の友が
傷つきやすく流されやすい脆弱を
勘のいい親しみやすさに育て
多くの友をつくらせて
爽やかな楽天家に仕立てるのだ
そうすれば照れて笑った口許に
白い歯がこぼれただけで
誰もが魅了されるだろう
そして白が
独りで立つことを知った時
及びがたく侵しがたい
それは至上の色になる
</WHITE>
</COLOR>