家族の
友人の
また、袖すりあった人々の
欲しかったものを想う
彼らに人生を選択させてきた
動機の地下茎であるとらわれ
そのとらわれ故に浮き上がり埋没する
嫌悪、憧憬、嫉妬、執着、攻撃、寛容....
欲しかったもの
美しい肉体
優れた知性
疑う余地のない愛情
いたわり
ドラマ
幸福
不幸
賑やかな食卓
白い肌
黒い肌
柔らかい髪
笑顔.....
彼にとって全てであるものは
誰にとっても全てではなく
彼をつき動かしてきた欲求は
他の誰をも動かす程の力を持たない
彼が人を価値づける支柱となる基準も
彼以外の者にとってはたいした意味を持たない
故に人は解り合い難く
心細く
安心に遠い
それぞれの欲しかったものをおもうとき
人間が見えてくる
隣人にもっとやさしくなれる
仲良くなるために
自分のゆがんだ価値観と
誰かのゆがんだ価値観を
一致させる無謀もしなくなる
自分のかわりに欲しかったものを持つ人として
身勝手な不変の価値を相手に求めなくなる
少なくとも窮屈な思いをさせない人になる