いい加減落ち着いた生活を送るべく

意にそまぬ相手とつき合ったこともあった




ある週末

草野球試合に連れていかれ

選手の家族や恋人たちのいる応援席に混じって座った

バットを振って走る夫や恋人に

みな我を忘れて熱い声援を送る中

わたしだけ

どうしても

応援する気になれなかった

鼻白む思いで

この退屈な時が過ぎ去るのをひたすら待った

―この人といることは間違っている




願望はいつも事実によって一刀両断にされる

彼がヒットを打って走った

応援席が沸き上がる

彼に声援を送っているのは

わたしではなく

彼の友人の家族や恋人たちなのだ

自分の気持ちの冷たさに全身がこわばる

わたしには彼が

愛おしくも微笑ましくもなく

それどころか

どうしても好きになれない

つきつけられた事実が

わたしをひどくうしろめたくさせた

―ここにいるのは間違っている




幸いにも二人は

距離の隔たりと時間の流れに助けられ

記憶が薄れるように別れることができた

意識をごまかすことができても

本心はまるめこめない

好き?ときかれて大好きと即答できる幸福

一人の部屋で呼びかける名が決まっている安心

これに勝るものはない

リスクを負っても

皮肉に刺されても

自分に嘘をつき続けて得る何よりも




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